今まで『私が今に至るまでの経験』というタイトルでシリーズ展開させていた『タクシーネタ』を、今回から独立させてシリーズ化させていこうと思い、『元タクシー運転手の独り言』という安易なタイトルをつけて書いていくことにしました。
このタイトルに変えての第一回目の更新は『タクシー運転手の給料』について書いて行きたいと思います。
という事で今回のライターはお疲れモード全開のシゲが担当させていただきます。
タクシー運転手の給料形態
タクシー業界の給料形態はとても大雑把に分けると2つだと思っています。
①歩合制
②固定給
この2つに分類してもいいのかなと思っています。
例外として『リース制』のMkタクシーさんもありますが、例外と言ってもいいかと思いますので割愛させていただきます。
歩合制とは基本『完全歩合制』を指しています。
よくある『固定給+歩合制』という形を固定給とさせていただきます。
歩合制と足切り制度
歩合制なので、その月に稼いだ営収が給料になります。
私の所属していた会社の歩率は48%+ボーナスとなっていました。
ボーナスは稼いだ営収によって変わる『累進歩合制』という、道路運送法では基本的に禁止されている制度が採用されています。
基本的に禁止と書いたのは、『過度な累進歩合を禁止』としているからです。
『過度』の概念は今一わかりませんが、基本的に禁止されているという程度に思っておいてください。
因みにですが、タクシーで営業するに当たって、『足切り』という物が存在しております。
私のいた会社では、昼で営業している人の足切りは35万円。
夜で営業している人の足切りは40万円。
一日行って、その翌日が休みという隔日勤務の人の足切りも40万円となっていました。
では、1ヶ月働いてその足切りをクリアできなかった運転手はどうなるのか。
歩合が45%に落ちて、ボーナスはカットされます。
酷い人になると最低賃金を割り込んでしまうので、給与明細がとんでもない事になります。
一時期テレビで取り上げられていましたが。
昼間のワイドショーでタクシー運転手は薄給だといった事が取り上げられていました。
確かにタクシー運転手は薄給な人も一定数いているのは事実ですが、私の体感ではそんなに薄給の人はいない様に思います。
というのも、薄給の人は薄給でいいと思って仕事をしているので、大抵の人が年金をいただいております。
自分のお小遣いを稼ぎに来ているので、わざわざしんどい想いをしながら必死に稼ぐ必要もありません。
タクシー運転手の大半はおじいちゃんなので、年金+給料なので結果としてそんなにお金に困る事はないようです。
私が昔たまたま見たワイドショーで駅待ち待機中のおじいちゃんにインタビューしていました。
おじいちゃんは『チップで生活しています。』と言うような内容の発言をして、スタジオではその悲惨な手取りの話しをしていた記憶があります。
ちょっと待ってほしいんですよ。
チップで生活できます?
その他の職業だったらチップをもらう事すら珍しいのに、そのチップで生活をするとなるとかなりの金額をもらっている事になりませんか。
そうなんです。
普通に皆様が思っている以上に運転手はチップが入ります。
私の知っている運転手は1年間チップを貯めてバイクを買いました。
私は小遣い0円で毎日のタバコや昼食等に当てていましたし、欲しい物も買ったりしていました。
だからインタビューに答えた運転手は年金+給料+チップで生活していたわけですね。
固定給について
私の営業していた地域では圧倒的に少ない固定給。
唯一の固定給は電鉄系だけだと思います。
私が電鉄系を進める理由はそこにもあります。
しかし、固定給とは言ってもそんなに高いものではありません。
固定給十数万円+歩合いとなると、結局手取りは20~25万円程度に落ち着くそうです。
歩率も高くないので、必死で稼いで見たところで上はしれています。
歩合と固定のメリット、デメリット
歩合は単純に稼げば稼ぐほど給料がグングン伸びていきます。
しかし、最大の問題は売上げが出来なかった時です。
重篤な病気にかかってしまって入院するなり、大きな怪我をして長期離脱を余儀なくされた場合は容赦なく給料0円です。
なんなら社保分の持ち出しもあるので、実際厳しいとは思います。
固定給は稼いでも先は見えているので、大きく給料を伸ばしにくいです。
しかし最低限の保障はあるので、最悪有給分は休んでも問題ありません。
ある程度安定を求めるなら後者の方が良いでしょうが、私は夢にかけて前者をオススメしておきます。
実際私がもらった給料とチップ
人間誰でもそうだと思いますが、やり始めたばかりの時って一生懸命やりませんか。
私は兎に角その場で認められようと思って我武者羅に働いていました。
入社後3ヶ月くらいは手取り18万位でしたが、それ以降は25万円程度に上がりました。
半年過ぎたくらいに私のタクシー人生最高の手取りをたたき出したのですが、その時の給料が55万円でした。
ハイヤーやジャンボタクシーの仕事をもらいつつ、時間一杯まで働いてひたすら頑張っていました。
しかししばらくすると、自分の欲しい給料でいいやと思いはじめてのんびり働くモードに切り替わります。
ましてや結婚し、子供が出来たら仕事ばかりに力を入れていられません。
うまいこと体力を分散させつつ毎月凌いでいくという感じになり、最後は20~25万円程度に落ち着きました。
そしてチップですが、毎年確実に1月が一番多いです。
タクシーを利用するお客様はお年寄りが多いからか、年始に会うとお年玉をくれました。
私は1月で平均6万円程度でその他の月で4万円程度でした。
最高にチップがたまった月は10万円を超えた事が一度だけありました。
タクシー運転手という仕事
私はしっかりやればこれ程良い仕事は無いと思っています。
まず最低条件として自分に厳しいことと運転が苦痛で無いことが条件となります。
私の勤めていた会社で毎月50万円以上持って帰る人は数名いたのは事実です。
東京の方だと70万位毎月持って帰れる人もいるし、私の勤めていた系列会社の知り合いの管理職から100万超えた人がいたという話も聞きました。
事故だけしなければ何の問題もありません。
しかし普通の仕事に比べて断然拘束時間が長い事だけは忘れないでください。
因みに私が所属していた会社は拘束時間は12時間で最長16時間になり、4勤務1休日でした。
とは言っても私は8時間位しか働かずに帰っていましたけどね。
なんなら3時間位で帰った事も何度もあります。
この話しを読んでいただいて、何となくわかってもらえると思いますが、タクシーは良い仕事です。
金銭的な夢も広がるし時間も作れます。
もしなりたい人がいたら私に一報ください。